« 第188号 2006年1月1日 また正月が来た | Main | 第190号 2006年1月12日 小泉辞任を国民の力で »

01/07/2006

第189号 2006年1月7日 新年の課題

  >>日々通信 いまを生きる 第189号 2006年1月7日<<

新年の課題

年が明けると、ポスト小泉でマスメディアはもちきりだ。国民参加型
の総裁選出方法をなどということまで言われて、耐震強度偽装事件も
靖国問題もかすんでしまった。

だれが後継者になろうと、小泉の政策を受け継ぐのであれば大差はな
い。後継者問題ではなくて、小泉政権がなにをやったかが問題なので
はないか。国民の目を後継者問題に集中させて、小泉批判が弱まって
いる。これではこの前の選挙と同じで自民の圧勝は目に見えているよ
うな気がする。

後継者は誰かということに競馬の予想のようなことをかきたてるマス
コミは、自民の圧勝のために奮闘していることになる。

耐震強度偽装事件はいまもマンション居住者の不安をかきたてている
が、この事件の根源にはアメリカの要求で実施された建築基準の改訂
があるという。

毎年10月にアメリカ・通商代表部から示される「年次改革要望書」に
ついてはこれまでにも聞いていたが、関岡英之氏の「拒否できない日
本 アメリカの日本改造が進んでいる」(文春新書)でその実情を知
った。小泉首相はまさにアメリカの要求に忠実に、日本の経済機構を
アメリカの基準にしたがわせ、アメリカの資本が自由に日本を支配す
ることができるようにするために、いまの政府の一枚看板である規制
緩和、構造改革をすすめているのであることを同書は明快に指摘して
いる。

アメリカの木材業者の日本市場参入のために、従来の基準を改訂せよ
という要求が出され、それに従って建築基準が最低基準を定めるもの
となり、従来の仕様基準を定めたものからからアメリカ型の機能基準
を満たせばいいという方式に変わった。いわゆる規制緩和、構造改革
である。検査機関も官から民へが実現した。この建築基準改訂が耐震
強度偽装事件の根柢にあることは明らかである。

郵政改革も司法改革もいずれもこの「年次改革要望書」にもとづくも
のであり、こうして日本の対米従属は骨の髄までにおよぶことになる。
日本が明治以来つくり上げてきた基準や方式がアメリカ式に作り替え
られる。その矛盾、混乱の隙間に耐震強度偽装事件というような犯罪
も発生し、政府はこれに対してただ国民の税金を注ぎこんで補償する
というしか対策を持たないのだ。この事件は小泉改革なるものの実体
と危うさを白日の下にさらしたのだ。

日米軍事再編が日本が米軍との一体化をすすめ、日本の軍事力を強化
して、アメリカの命令一下、世界のどこへでも出動して、米軍のかわ
りに血を流す体制の確立をめざすもので、憲法改定によって完全なも
のになることは次第に明らかになってきた。

この対米従属は小泉内閣になってきわめて急速に推進されたのであり、
これをマスコミは支援してきた。
長期にわたる不況、リストラにうちひしがれ、時代のの閉塞感に苦し
む国民は「改革」という言葉にすがりつき、実行力があるという小泉
内閣を支持した。郵政改革に賛成か反対を問う選挙だと叫んで、反対
派を徹底的に排除した選挙で大勝利をおさめて、小泉首相はきわめて
得意気であった。
マスメディアはこの小泉人気をあおり、小泉批判の言説は曖昧模糊と
した意味不明のものになりがちだ。

小泉首相はアメリカとの関係さえうまく行けばすべてはうまく行くの
だとほとんど白痴的な発言をして、いま、世界から孤立して危地に追
い込まれているアメリカに絶対従属の立場を示し、ブッシュ大統領を
喜ばせた。

しかし、この頃の小泉首相は生気なく疲労感が感じられるように見え
る。改革の看板ばかりはならべたがその実効は疑わしく、マンネリズ
ムになり、耐震強度偽装事件のような綻びばかりが目立つことになっ
たからだろうか。

改革のペテンで国民の支持を得て、圧倒的な議席を確保したいまは、
いよいよ大増税にふみきるときで、国民の支持が遠のいていく。
靖国参拝で、アジアとの関係を閉ざし、世界からも孤立する。
小泉政治がつづく限り、言葉だけは景気がいいが、実質は沈滞と疲労
から解放されない。
そんな小泉政治を追い詰め、徹底的に批判して、国民の力で小泉政治
の終焉を実現すべきときだ。

ところがマスメディアは小泉批判ではなくて小泉の後継者えらびに国
民の関心を集中させることに努めている。
自民党の総裁は国民が選ぶようにしたいというような暴言を許し、自
民一党による国民支配の継続を前提とする報道ぶりだ。

景気は回復したというが、年末から年始にかけて、なにか国民に生気
がなくよどんだ気分が漂っているのではないか。
「時代閉塞の現状」という啄木の言葉が身に沁みる感じだ。
景気が回復したといっても、貧富の差が拡大し、低所得の非正規社員
が増大して庶民の経済は悪化し、そこに大増税、健保、年金の改悪が
押し寄せてきているからであろう。

「改革」の内実は空洞であり、国民生活を破壊するばかりであること
が感じられて、それがこの疲労感を生んでいるのだろう。いま、必要
なのはこの小泉政治の虚偽性と反国民性を暴露し、国民の小泉政治反
対の声をもりあげ、国民の力で小泉政治を終焉させることであると思
う。
いまのマスメディアがその方向に進んで国民を奮起させるむなら、マ
スコミは活気を取り戻すだろうが、その反対にこのような気運を押し
とどめ、小泉政治の継続を前提とする以上、その沈滞と低迷は持続せ
ざるを得ない。

国内を見る限り、くらい現実ばかりが目につくが、目を外に転ずれば、
アメリカの支配を脱しようとするイラク人民の動向は新しい展開を見
せるのではないかと思われる。

アジアでは中印の経済発展がめざましく、アジアの経済共同体への動
きも顕著である。この新しいアジアは世界を動かす力となり、EU、
アメリカとともに明日の世界の中心となるのだろう。アメリカも中国
との関係を急速に発展させている。

六カ国協議は停滞し、米朝間の交渉は困難をきわめているように見え
るが、とにかく、平和的な交渉で解決しようとしていて、やがては妥
協点を見出すことができるだろう。そして、靖国参拝にこだわりつづ
け、屁理屈をひねり出すばかりの総理大臣を国民が支持する日本だけ
がこの新しい動きから疎外されているように思える。

くらい日本の現実だが、「改革」の空虚な夢が破れるところに新しい
転機も生まれる。
このごろは右翼にも反米的な色彩が強まってきている。
反米独立の要求が次第に国民の間に浸透しているのであろう。
しかし、これが反中、反アジアの傾向と結びつくとき、孤立的ナショ
ナリズムとなる。
今年の課題はアメリカからの自立の道を探るとともにアジアとの結び
つきを強めることにあるだろう。

奇妙な倒錯した政治が極度に達すれば、おのずから新しい道が開ける。
くらい現実をはっきりみつめて、そこに新しい転機の可能性を探る仕
事を今年もつづけたい。

今年の新年は異常な寒さのようだが、皆さん、からだに気をつけてお
過ごしください。

申し遅れましたが、「試想」という若い諸君の同人研究雑誌が広津和
郎の特集をし、私も広津和郎の散文精神について書きました。
広津の散文精神が新しい意味をもってよみがえってくる時代です。ま
じめな研究者たちの力のこもった論文が並んでいます。ここにも新し
い希望はあります。
私の掲示板に<野間宏>というハンドルネームの沖縄の青年が投稿し
ています。鬱病で高校を中退し、その前途を危ぶんでいましたが、次
第に力強くなり、自分の思想を求めて努力しています。
新掲示板1に投稿しています。皆さんからも助言してやってください。

私たちは決して孤立しているのではない。
座間の米軍司令部反対闘争には、市長も参加し、1万5000人が集まっ
てはっきりと反対の意志を示しました。
沖縄県知事、神奈川県知事以下、各自治体の首長もはっきり反対の意
志を表明して、新しい国民的な闘争の形が生まれはじめています。い
ま、基地の拡張、再編を許せば、これから何十年つづくかわからない
という危機感が関係自治体の首長をも動かしているのだと思います。

今年は憲法をめぐるたたかいが激しくなると思います。
イラクではアメリカの戦争主義が敗れて、新しい動向がイスラエルや
アラブ諸国に生まれています。
ヨーロッパでもアジアでも、平和的統合の動きが強まっています。
アメリカ自身が方向転換を余儀なくされています。
そのなかで、日本だけが頑固で偏執的な総理大臣を存続させ、アジア
と世界から孤立する道を歩いています。
この小泉政治を打倒しなければならない。
この小泉の後継者えらびに目をうばわれて小泉政治の存続を許しては
ならない。

漱石は「羸弱なら羸弱なりに、現にわが眼前に開展する月日に対して、
あらゆる意味に於いての感謝の意を致して、自己の天分の有り丈を尽
そうと思うのである。」と死の年の新年に述べた。

私たちも新しい年に「自己の天分の有り丈を」つくしたい。

    伊豆利彦 http://homepage2.nifty.com/tizu


|

« 第188号 2006年1月1日 また正月が来た | Main | 第190号 2006年1月12日 小泉辞任を国民の力で »

Comments

伊豆様のご意見は私も以前から感じていたことを明確にのべておられます。前の小泉の選挙のとき、朝日新聞の声欄に、伊豆様とほぼ同意見をだして送ったのですが声欄に載せてもらえず、残念な思いをしました。すっかり小泉劇場におどらせている国民に小泉の過去の実績の空虚さを訴えパーフォーマンスに踊らされるなといったのです。今年9月に安部、麻生が次期総裁となれば、いよいよ悲劇的になるように思えてなりません。なんとか阻止できないか。憲法9条の改正までいく可能性は十分あると思います。中国、韓国、北朝鮮それに他の東南アジア諸国とはますます離反していくでしょう
金様から希望に満ちた内容をおしえていただいたのですが、少しまだ不安におもわれます

Posted by: 青木 忠 | 02/08/2006 at 01:50 AM


「共闘」宣言


心から歓迎したい。
新年初に日本から「渡辺恒雄氏、朝日と「共闘」宣言」という便りが聞こえてくる。

小泉政権が右頃化を合理化し、国民に国家イデオロギーを強調するのにその背後から力を足してきたのは日本の言論であった。

日本の言論、特に新聞は日本国民の精神的な基と言っても差し支えないだろう。
日本の新聞は、明治維新以来発展を重ね、今日日本の新聞普及率は世界上位を占めている。

その事実を反映する如く、多くの国民が新聞を読んでいる。
日刊新聞の発行部数は他の先進国に少しも劣らない。
まさにそれは出版王国と呼ばれている日本の力であると言ってよいのだ。
しかも、人口に比べ、新聞の発行部数が世界上位を誇ることは、それほど無学文盲の人が少ないということだ。

ところで、日本の代表的な新聞で、最高の発行部数を誇る(1000万部を超える)読売が、発行部数2位(800万部を超える)と言われている朝日と手を組むということは意味深いことであるに違いない。

そのうち読売と産経が如何に保守的な見解を示す論調で一貫してきたか新聞を読む読者なら分かり切っていることである。

なぜ小泉政権の言いなりになって、彼らの立場を代弁する論調で一貫しているのだろう。
なぜ隣国韓国や中国との外交問題を言及するのに、また世論形成において、国粋的な視点を堅持しているのだろう。

記事を読んで多くの読者は懐疑的に思わざるをえなかった。
しかし、「日本の言論界も変わりつつある」。

国民意識はだいぶ均衡を保つようになったのに、言論だけは保守に留まっている韓国。
ここに韓国言論の限界がある。
この矛盾をどう説明していいだろう。
既得権を持っている権力がまだ社会を支配しているという証拠なのか。
中々目覚めない国民の意識が低いからだろうか。

朝鮮日報や東亜日報などの保守的な新聞の購読率が、ハンギョレや京郷新聞のような進歩的な新聞よりはるかに上回る韓国の立場から見れば、日本の言論界の動きは羨ましい。 

思うに、日本の政治界にも麻生太郞や安倍晋三のような人物ばかりがいるわけではない。
今年9月行われる予定の自民党総裁選挙には、前自民党副総裁山崎拓と前官房長官福田康夫が出馬するというニュースも聞こえてくる。

山崎は7日日本放送との会見で小泉総理の外交政策について触れ、対アジア政策をこのまま放置してはいけないというような意見を表明し、福田前官房長官の考えに共感すると述べたが、はたして日本の政治界にもアジア外交をめぐっての連帯の動きが見えるだろうか。
そして、それが日本の次期総理の選挙にどう影響を及ぼすだろうか。

新年を迎え、日本が変わろうとしている。
しかし、性急な判断は止したい。

読売新聞が実施した世論調査で安部晋三は、与野党議員から40パーセント以上の圧倒的な支持を受け、日本の次期総理の第一候補としての位置を占めている。

安部が次期総理に選出されると、日本がさらに保守に回帰するのは確かなことである。

日本の未来はどうなるだろう。
「共闘」宣言と連帯の動きが広まる日本の雰囲気が、アジアの和解に向かって一歩前進することに繋がるよう期待してやまない。


Posted by: 金正勲 | 01/09/2006 at 12:31 PM

伊豆利彦様 播翁@兎木村繁次郎です。私はふと、コンナ事を想像するんですが。自分の政治のやり方に一番好いのは、国際緊張を高め、国民世論を、それに向かせて、想うように、細工する、昔より、何処の国も、やった。ドチラにしても、国民こそ、真剣に、小泉氏の、近隣国えの、やり方を、見て欲しい、見ても、自民300近い議員、独裁に近いやり方を、これから、するやも??・・されても・・しょうがないよ・・選んだんやから、次の選挙まで、自由・・自由・・で・・なんとかせんと・・日本は・・沈没・・

Posted by: 播翁@兎 木村繁次郎 | 01/07/2006 at 07:36 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/92803/8041577

Listed below are links to weblogs that reference 第189号 2006年1月7日 新年の課題:

« 第188号 2006年1月1日 また正月が来た | Main | 第190号 2006年1月12日 小泉辞任を国民の力で »