第214号 2006年7月6日 ミサイル実験と日本
伊豆利彦 http://homepage2.nifty.com/tizu
朝鮮(北)のミサイル実験で、日本のマスメディアはわきたっている。
政府もはやばやと制裁措置を発表した。
しかし、実験の着弾地は日本海といっても、日本から遠くロシア領に近い海域で、ロシアは脅威とは感じないと言っている。
アメリカの独立記念日の当日で、アメリカはスペースシャトルの打ち上げに成功した。
この時期に実験がおこなわれたことは、これがアメリカに対する直接会談を求める強いメッセージだったということだろう。
朝鮮(北)は国交回復、平和と援助を求めている。アメリカや日本を攻撃する理由も能力もない。
しかし、日本のマスメディアはまるで朝鮮が戦争を仕掛けようとしているかのように騒ぎ立て、これを軍事力強化と日米軍事体制の強化にむけて利用しようとしている。
イラクもアフガンも、治安は極度に悪く、イラクの武装勢力の抵抗は強化されて、政府軍の手に負えないことは明らかだ。米軍は撤退したくても撤退できず、<残敵掃蕩>のためにイラク住民を殺戮している。これはかつてのヴェトナム戦争の再現に道を開くのではないか。
やがて7月7日だが、この日蘆溝橋事件をきっかけに本格化した日本対中国戦争も、同様に、首都南京、武漢を攻略して、傀儡政府の樹立に成功したが、中国人民の抵抗にあって泥沼戦争に落ち込み、二進も三進も行かなくなって、対米英戦争に踏みこみ、悲惨な結末を迎えた。
もはや、人民が自覚して、抵抗戦争に立ち上がったなら侵略者は敗北するしかないことをあの戦争は教えている。
アメリカは膨脹しつづける戦費と財政赤字に苦しんでいる。さらには、戦争を続けるためには兵力が枯渇している。
日本のほかには協力する主要な国もなくなった。
世界はあきらかに、アメリカ一国支配の時代から変わっていこうとしているのだと思う。アメリカ国内でも、ブッシュ批判は強まり、その戦争政策の支持者は激減しているという。
日米軍事再編成や牛肉輸入再開をお土産にアメリカを訪問した小泉首相は、議会での演説は拒まれたが、ブッシュ大統領に大歓迎されのは、この間の事情を鮮明にあらわしている。
小泉首相は大はしゃぎで、大統領といっしょにプレスリーの邸宅とお墓を訪問したが、そこで大醜態を演じて、アメリカ国民に嘲笑されたらしい。
(掲示板3960.小泉「ラブミーテンダー」だと 参照)
小泉首相の向米一辺倒、アジア軽視の外交政策に対する日本国民の批判は強まり、大資本とアメリカ奉仕の構造改革も格差社会を生み出すとする批判が強まっている。
この窮境を抜け出すために朝鮮(北)のミサイル実験は思うままに利用されている。
しかし朝鮮の立場に立てば、アメリカに依存していては、アメリカの都合次第でどんな目にあわされるかわかりはしないのだ。命の綱の重油供給も経済援助も断ち切られた。
日本にしても、せっかく平壌宣言を締結し、拉致問題について金正日が謝罪して5人とその家族を帰国させたにもかかわらず、それが不十分だとして、国交回復の道を開こうとしない。
朝鮮は平壌宣言に大きな期待を寄せたのであったろう。
しかし、いまは日本は交渉相手とすることができないと分かった。
対日国交回復も対米直接交渉によるしかない。
日本は朝鮮だけでなく、アジア諸国からの信頼もうしなった。
アジアに対する影響力をうしなった日本は、アメリカにとっても同盟国としての意味を低下させる。
アメリカは日本ではなくて中国との関係強化ををアジア政策の基本に据えるようになった。
中国をアジアの中心として友好関係を強化しながら、日本には中国を牽制する役割をあたえ、軍備拡大のためにアメリカから巨額の兵器を購入することを重要な役割とする国にした。
日本国民はアメリカの政策転換を理解しているのだろうか。
ミサイル実験は自民党の頽勢を盛り返すために使われているが、国民はふたたび肩すかしをくわされることになりはしないか。
梅雨もいよいよ本格的になったようだ。
しかし、梅雨も意外にありがたいのだ。
梅雨のない北部中国の暑さはたいへんなものだった。
梅雨の日本に帰って来てほっとした記憶がある。
梅雨を楽しむことが必要だと思う。
皆さんお元気で。


Comments
アメリカのヒール次官補と6カ国協議の再開方案を協議したところ、韓国の平和交渉本部長は8日「北朝鮮を除いた5カ国会協議は会談の代案ではない」と述べたという。
韓国側とヒールさんとの間にどのような会話が交わされたのか、それは分からない。
しかし、アメリカから先にその話が出たかどうか分からないが、5カ国協議という言葉が用いられたこと自体は非常に遺憾なことである。
なぜ5カ国協議という言葉が出たのだろう。
最初から6カ国が参加するということで、正式な協議が始まったのに、どうして協議に報復という恐ろしい武器を取り入れようとしたのだろう。
中国とロシアでは5カ国協議に否定的な反応を見せているらしい。
韓国も雰囲気が深刻であるだけにアメリカや日本の意見に反対はしていないものの、慎重な姿勢を崩していないようだ。
北朝鮮は追い詰められている。
ミサイル発射実験は主権に属するものと言いながら実験を続ける可能性さえ知らせている。
無謀な計画であるかもしれないが、アメリカに対応する適当な方法がない北朝鮮としては必死の覚悟で対応しているように受け取られる。
追い詰められれば追い詰められるほど、ミサイル実験を続けるとか、それより強力な手段で対処すると言いながらより攻撃的体勢を見せている。
アメリカ・日本対北朝鮮という、そのような対立で東アジアで緊張が高まる。
韓国の大使は日朝関係が米朝関係よりさらに険悪だというようなことを言ったが、その通りかもしれない。
アメリカは日本を仕掛ける可能性があり、また朝鮮は追い詰められた果てになったような状態では、射程距離に入る地域にその無謀な計画を実行してしまう可能性がなくもないからだ。
しかし、そのようなことが起れば全ては終わりである。
韓国はどうなるだろうか。
日本はどうなるだろうか。
アメリカから北朝鮮のミサイル実験に対する対処方案が活発に論議されている中、日本からも経済的な制裁措置云々という言葉が聞えてきたときには恐れた。
北朝鮮の船を帰らせたときにも緊迫感が漂っていた。
日本は強国らしく対話で問題を解決しなければならない。
北朝鮮は当然ミサイル発射実験を中止し、6カ国協議に戻らなければならない。
しかし、そこにはアメリカの努力が必要だろう。
経済的な援助を保障するだけではなく、北朝鮮が協議に参加するよう攻撃的な発言を控えるなど雰囲気作りに励めなければならない。
協議に参加するよう誘導するため、北朝鮮に名分を立ててやる必要もあるだろう。
「この時期に実験がおこなわれたことは」、「アメリカに対する直接会談を求める強いメッセージ」であった。
北朝鮮が「アメリカや日本を攻撃する理由も能力もない」のは確実なことだ。
今度のことが「軍事力強化と日米軍事体制の強化」に向かって進むことを決して望まない。
アジアの人々は日本人の拉致問題で日本と北朝鮮との国交回復が伸びたのをもっとも惜しく思ってきた。
一日も早く対話局面に入ることを願う。
そして、北朝鮮のミサイル実験問題がアメリカのネオコン勢力や日本の右翼に利用されるようなことがあってはならない。
アメリカの雰囲気作りを通じての北朝鮮の6カ国協議に復帰。
韓国の活発な役割。
北朝鮮と日本との国交回復。
これが実現される日はいつ来るだろうか。
アジアで軍備拡大が何より優先するスローガンになっている現状はどう考えてもおかしい。
一日もはやく平和が定着し、アジアが共同で世界の平和事業をやる場面を見てみたい
Posted by: 金 正 勲 | 07/08/2006 at 07:37 PM