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01/09/2008

第272号 「変革」を求めて

>「日々通信」いまを生きる 第272号 2008年1月9日<

 発行者 伊豆利彦
 ホームページ http://homepage2.nifty.com/tizu

「変革」を求めて

 民主党の大統領候補をきめるアイオワの予備選挙でオバマ候補がヒラリー候補を破って次期大統領に向って大きく前進した。オバマ候補は代議員数比率で38%、2位のエドワーズ(30%)、3位のヒラリー(29%)に大きく差をつけた。オバマの勝因は30才以下の若年層から57%という圧倒的な支持を得たことで、この世代のヒラリーは一桁という惨敗だったという。
(冷泉彰彦『from 911/USAレポート』第336回「アメリカの底力」)
   
「変革」を訴えたオバマが「経験」を売り物にしたヒラリーに若い世代の支持を得て、大幅に引き離して勝ったのだ。オバマは勝利演説で、アイオワ州民が「変革」を選んだと強調した。しんぶん赤旗は「全国調査で国民が争点としてあげるのは、経済、イラク戦争、健康保険問題です。ブッシュ政権への支持率の低さとともに、現在の米国の進路に対する不支持は七割に上っています。同氏の勝利で「ブッシュ政治からの転換」が流れになっていることが裏付けられました。」と伝えている。

 8日のニューハンプシャー州予備選は、前日の世論調査ではオバマ41%、ヒラリー28%とオバマが優勢だったが、ヒラリーの涙がきいたのか、いよいよ開票になると、ヒラリーが巻き返し、僅差で勝利した。しかし、次の予備選サウスカロライナでは黒人の多数が投票してオバマが勝つだろうと予想されている。

 ヒラリーでは代わりばえがしない。若い世代が大量に投票して、「変革」を標榜する黒人候補が初の大統領に当選すれば画期的な出来事で、アメリカの民主主義が活力をうしなっていないことを示すことになると思う。アメリカは多難だがなお希望がある。アメリカの動向は日本にどんな影響をあたえるだろうか。

 日本の若者は非正規社員が半数以上という状態で、劣悪な労働条件に苦しんでいて、雨宮処凛のようなワーキングプーアの結集につとめる異色の若者もあらわれ、一部にプロレタリア文学に対する関心も見られるが、自らの力で未来を切り開く動きはまだまだ微弱なようだ。

 参議院選挙で自民党が大敗したとき、新しい展望が開けるという思いがしたが、安倍前首相が支持率の低落にもかかわらず首相の座に居すわりつづけ、民主党は解散総選挙においつめることができなかった。さらにわけのわからぬ事情で安倍が総理を投げ出しても自民は政権にしがみつき、挙げ句の果てには大連立によって政権を維持しようとし、小沢がこれに賛成するという有様だった。さらに小沢は党の執行部に反対されると党首を辞任しようとしたが、幹部に慰留されると。連立案をひっこめ、そのまま党首の座にもどった。こんな民主党では到底自民党とたたかうことはできないのではないか。なんとも情けないはなしだ。

 こんなごたごたのために国会は再延長して年を越し、何をしているのかわからないがただいたずらに国費を浪費している。アメリカにとって石油の補給活動がどれほど大事なのかわからないが、ただ、アメリカの御機嫌をうしないたくないばかりに、こんな無駄なことをしているのだ。そして小沢民主党は、アメリカの御機嫌とりにアメリカに協力して世界のどこへでも出撃できるという新法案を国会に提出するのだそうだ。なんともあきれたはなしだが、これもアメリカに見捨てられたら日本は立ち行かぬという妄想に駆り立てられているからなのではないか。アメリカの御機嫌を損じたら朝鮮の脅威に対抗できないというのだが、なんという荒唐無稽な妄想であることか。国民が飢えに苦しむ朝鮮がそんなに恐ろしいようでは、日本は永遠にアメリカの属国でいなければならないことになる。日本の青年に活気がないのもこのようなみじめな日本の状態の結果なのだろう。

 安倍前首相の「美しい国」とか「愛国心」とかが空虚なのは日米関係についての明確な立場が示されないからだ。日本の右翼は独立をいうが武力の強化ばかりを主張する彼らは、結局、日米戦争を想定し、核戦争の準備をしようというのだろうか。日本は平和国家であることに自信を持ち、アメリカの戦争政策と毅然としてたたかいつづけるところに独立の道を探るべきだと思うがどうだろうか。

 去年は「戦争と文学 いま小林多喜二を読む」の韓国語訳が出て、韓国で多喜二について講演する機会をあたえられ、今年の新年は湯が島で多喜二について語り合いながら迎えた。今年は多喜二の没後75周年ということで、民主文学会の<多喜二の文学を語る集い>が3月15日にみらい座いけぶくろ(豊島公会堂)で開かれる。横浜でも記念集会が開かれる。その他秋田でも七沢でも開かれる。それもいまという時代と結びつけて、強い現代的関心のもとに語られる。すでに過去の人として伝説的に語られることの多かった多喜二が、これほどいまに生きる作家として現代的関心をもって読まれることになろうとは思わなかった。

 私は韓国で講演して韓国人の問題を多喜二がどう書いたかを考えて新しい認識が開けた。湯が島の文学学校では普通の銀行員だった青年が運動にはいっていくことに参加者の関心が集まった。多喜二を特別な人間としてでなく私たちと同じ普通の人間だったと考える時、多喜二の文学に対する新しい眼が開けると思う。

 漱石は100年の後に生きるということを言ったが、多喜二もまた100年の後に生きる作家だった。当時、流行した多くの作家や評論家などが忘れられた、あるいは過去の存在になった現在、彼らがなおいまに生きているのはなぜだろうか。

 今年は1月になっても暖かい日がつづく。温暖化現象の現れだろうか。しかし、これから本格的な寒さがくるということだ。皆さんもお体に気をつけて、おすごしください。

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