« 第305号 2011年1月1日謹 賀 新 年 | Main | 第306号 世界最大級の地震 »

01/03/2011

第305号 2011年1月1日 謹 賀 新 年 訂正版

[お詫び]先に送信した「日々通信」305号は重大な誤記があり、また舌足らずだったので、末尾に近い部分を訂正して再送します。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。

第305号 2011年1月1日 訂正版

 発行者 伊豆利彦
 ホームページ http://homepage2.nifty.com/tizkotosimo

謹 賀 新 年
 たいへんな時代です。アメリカの世界支配は後退し、中国の進出がめざましい。南北朝鮮は砲撃を応酬し、中国の鼻先で米韓、米日、三国共同の大演習が行われました。世界経済も自然環境も人間精神も病んでいます。「雨降って地かたまる」と言いますが、この破滅の危機からどんな世界が生まれるか。死を間近に控えた老人は老いてなお「見果てぬ夢」を追いつづけ、みなさまの御健康を祈っています。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆                                 昨年、日韓併合、大逆事件から100年、朝鮮戦争から60年、安保改定の1960年から50年という年に、南北朝鮮が実弾の砲撃を応酬し、一触即発の危機に直面した。つづいて米韓、米日の戦後最大規模の共同演習が、の間で行われた。東アジアは一発触発の危機というべき状態だった。

 私たちにはいざ開戦という緊張感はなかった。しかし、かつて柳条湖の列車転覆事件から満州全土に戦火がひろがり、盧溝橋の一発の銃声から中国全土に及ぶ泥沼戦争に突入して、ついに日米戦争に発展し、悲惨な敗戦に追い込まれた。1950年に朝鮮戦争が始まった時も、それがあのように悲惨な戦争になるとは想像しなかった。

 第一次世界大戦も、第二次大戦も、ふとしたことから戦争がはじまり、想像を絶する大戦争に発展して、戦争の度に犠牲者が増えていった。特に注目すべきは、非戦闘員の犠牲が激増していったことだ。第二次大戦はアメリカの原爆投下で想像を絶する悲劇を生んだ。

 現代の戦争では、敗者はもちろん勝者も大きな被害を蒙り、破滅していった。この経験からヨーロッパでは、ながく戦争を繰り返してきた独仏が連合し、EUが成立して、世界史は新しい時代を迎えた。日本は平和憲法を制定して、戦争放棄を宣言した。第二次大戦以後、国際問題を戦争に訴えて解決しようとしたのは、世界最大世界最大の軍事力を誇るアメリカと旧ソ連だけだった。

 朝鮮戦争、ヴェトナム戦争、湾岸戦争、そして今日につづくアフガン、イラクの戦争とアメリカは戦争をつづけ、疲労困憊して崩壊の危機に直面している。この間にアメリカの裏庭とよばれ、アメリカが支配してきた中南米諸国に反米的な政権が成立し、中国をはじめBRICs諸国は急激に発展した。アメリカの軍事力は圧倒的な力を保持するが、政治的、経済的には急激に後退した。

 中国は世界第二の経済大国になり、それにともなって軍事力の拡張も顕著だった。特に海軍力を強化し、東シナ海、南シナ海の海域を自由に航行する制海権を得ようとした。ここに日本をはじめとする東アジア諸国との軋轢が生じ、アメリカとの対立も生まれた。

 アメリカの経済破綻は深刻で、中日韓に全面的に依存しなければならなくなったが、東アジア諸国は対米従属を脱して自立の方向を探りはじめた。戦後一貫して日本を支配してきた対米従属一辺倒の自民党が後退し、民主党が政権を奪ったのも、背後にこのような世界的な勢力関係の変化がある。

 アメリカの弱体化はアメリカの孤立を招いた。いまのアメリカのもっとも信頼する同盟者は日本だといわれる。アフガンで行き詰まったアメリカは、アメリカ離れの傾向を強める日本との同盟を強化して、拡大する中国と対抗しようとしている。中米関係はアメリカの対中依存を強めながら、潜在的な対抗関係を深めている。

 中国に世界第二の経済大国の位置を奪われた日本は、このアメリカの潜在的対中敵視政策を代行させられ、アメリカの代言人に過ぎないメディアは、日本における反中意識を煽り立てている。朝鮮の脅威を強調して、日米同盟の「抑止力」としての意味を強調し、離叛しようとする日本をひきとめる政策が、この一年ますます強化され、世論を動かしている。悪人小沢のイメージが定着し、検察、官僚、メディア、世論の異常なほどの集中攻撃を受け、党内の分裂を煽り立てられて、鳩山・小沢政権が早期退陣に追い込まれた背景にこのような事情があることを無視することはできない。

 尖閣諸島の中国漁船による領海侵犯と日本の監視船に対する体当たり攻撃が日本側が編集した一方的ビデオによって宣伝され、国家秘密漏洩事件まででっち上げられて、国民の反中、嫌中意識が煽り立てられた。

 朝鮮は核兵器開発を急速に進め、軍事力の強化を誇示し、延坪島を砲撃して韓国を挑発し、一触即発の危機を醸成した。韓国は理不尽な悪党金総書記が支配する朝鮮の脅威に対する報復として対朝砲撃を行い、戦後最大規模の米韓共同演習で「抑止力」としての米韓同盟の意義を強調した。ひきつづき、戦後最大規模の日米共同演習が日本列島沿岸および東シナ海で展開され、「日米同盟」の意義が強調された。菅政権は普天間基地の辺野古移転を認め「武器禁輸三原則」の緩和をはかるなど、急速に日米同盟=対米従属を強めている。

 日韓は朝鮮の暴挙によって米国依存の傾向を強めている。しかし、去年のメディアを賑わせた海老蔵の事件にしても海老蔵側の言い分だけを聞いていては真相は分からない。加害者とされる側の言い分を聞いてはじめて真相に近づけるのだと知らされた。結局示談になって海老蔵の側が多額の慰謝料をはらって決着したようだ。真相は結局隠蔽されたままになる。

 朝鮮はありとあらゆる悪罵を投げかけられて、日米韓の同盟強化の触媒になった。しかし、朝鮮は昨年以来、話し合いによる解決を繰り返し求めている。延坪島砲撃事件でも、日米韓の側では民間人を含む4人の犠牲者が出たことを強調するが、わたしは民間住宅の破壊がひどいのに死傷者が出ていないのを不思議に思っていた。民間人の死者2人も基地内で犠牲になったのだ。その後、韓国側の報復射撃があり、朝鮮からの再報復を警戒する韓国側の映像を見ると、次第に事態が明らかになってきた。

 元来、延坪島その他の沿岸島嶼は北朝鮮本土からほんの10キロくらいで、朝鮮戦争が停戦になったとき、アメリカ側が設定したきわめて不自然な境界線なのだ。朝鮮側はこの境界線を認めず、独自の境界線を主張していて、延坪島その他の島嶼を朝鮮領としている。つまり、延坪島は両者の主張が食い違う問題地域なのだ。

 最近、韓国海防艦天安の沈没事件以来、南北関係が緊張し、米韓共同演習が繰り返されることになった。延坪島砲撃事件の当日も韓国軍が延坪島から砲撃演習をおこない、朝鮮側が領海内への砲撃停止を求める勧告を繰り返していた。にもかかわらず韓国は朝鮮が自国の領海と主張する海域に砲撃をつづけ、朝鮮側が予告どおりに報復射撃を行ったというのだ。

 この際、朝鮮側は170発を発射、90発が海上に落下し、80発が同島に着弾したという。それもまず基地を砲撃し、最後に住宅地を射撃した。韓国は同島周辺で砲撃演習をする際、朝鮮側からの攻撃を予想して、立派な避難施設を準備し、住民を避難させていたので、住民住宅地は破壊されて廃墟と化したにもかかわらず、民間人の犠牲は基地で軍の仕事をしていた2人を除いては一人もなかったのだ。しかも、韓国側の報復射撃のあとは再報復をせず、中国との連絡を密にして、熱心に6カ国協議再開を求めている。

 これに対して米韓日の側は、横須賀の原子力空母ジョージ・ワシントンが参加する戦後最大の規模の共同演習をおこなったのだ。しかも、この演習は延坪島砲撃事件のはるか以前から計画されていたのだという。この演習に対する世論の抵抗はほとんどなく、アメリカ側はきわめて順調に東アジア三国の同盟を強化し、中朝を仮想敵国とする戦後最大規模の共同演習を実施することができた。

 この演習が平和主義者と言われる人々の支持をもかちえて実施され、米韓日三国の同盟が強化されたことは、アメリカの政治的、軍事的大勝利だったというべきだろう。そうだとすれば、単にどちらが先に砲撃したかということだけでなく、もしかしたら、この事件そのものが米韓によって周到に仕組まれたものだったかも知れない。

 かつてチャーチルは日本軍の「真珠湾攻撃」を英国の勝利だと喜んだという。日本軍の「真珠湾攻撃」によって婦負郡は強固な平和主義者の反対を抑えて、挙国一致で戦争に突入することができた。9.11事件にしても、米側はそれを予期し、利用して挙国一致で戦争に突入したのだ。ヴェトナム戦争でアメリカを北貘に踏み切らせたトンキン湾事件も虚構であったと言われる。

 言われてみれば、国際関係は虚構と謀略に満ちている。いまさら言い立てるまでもないのだろう。しかし、日本のマスメディアはアメリカ発の一方的な情報ばかりで、もう一つの視点からの情報がなく、昔はなかったテレビその他の圧倒的強力な通信機器で国民の心を支配している。私たちが子供のころもデマとか謀略、諜報というような言葉が子供たちの世界にも浸透していた。いま、日本国民の大多数が無条件にアメリカを信じ、検察やマスメディアの情報を信じて、自在に操られいるのはあまりに情けない。

 文学研究者として言葉の虚構性とか視点の問題とかにかかわってきた私には、いまのメディアの暴力的な支配に対していくらか発言する必要がありそうだ。もう、残り少ない命なのだから、政治的な発言はやめて、自分にしかできない仕事をしようと何度も思ったが、戦争の時代に青春を生きて、すべてを歴史の相のもとに考えることから離れられない私は、せめて新年はという思いにつきまとわれながらも、こんな繰り言を新年の言葉として書いてしまった。お許しください。

 自民に絶望し、民主に裏切られて行き場をを失った日本人の間に自滅的な破壊活動に突き進む傾向が発生している。この窮地から脱するために民主・自民の大連合を求める動きがあるが、かつて行き詰まった日本が政党政治を否定して大政翼賛会を結成し、ついに破滅的な戦争に突入した歴史が思い出される。行く先まっくらなとんでもない時代だけれど、敗戦の廃墟の中から出発した私は、絶望的な現代かあたらしい未来は生まれるのだという思いをあらたにし、せめて新年の希望の言葉として送りたい。みなさんのそれぞれのお仕事に期待します。今年もどうぞよろしく。

|

« 第305号 2011年1月1日謹 賀 新 年 | Main | 第306号 世界最大級の地震 »

Comments

伊豆さんの論文にはいつも啓発されます。それにしてもマスコミは中国や北朝鮮の脅威をことさら煽っています。まさに戦前の新聞が戦争を煽ったのと同じような状況になりつつあるのが心配です。いつも戦争が起こる前には必ず隣国からの脅威をマスコミが煽る事を始めます。その次に反戦運動に対して愛国心のなさを糾弾し始めます。そうなると戦争勃発は確実なものとなります。

Posted by: aki | 01/04/2011 at 01:54 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/92803/50475557

Listed below are links to weblogs that reference 第305号 2011年1月1日 謹 賀 新 年 訂正版:

« 第305号 2011年1月1日謹 賀 新 年 | Main | 第306号 世界最大級の地震 »