日刊ゲンダイ Dailymail Business 2005年 5月12日号 -1にわかりやすい記事がありましたので紹介します。
─ Today's Top News ──────────────────────────
■ 果たして「民営化」は良いことなのか
■ JRの大事故で改めて問われている極めて重大な問題
■ 国営事業の民営化には必ず汚い裏がある
─────────────────────────────────── いま小泉デタラメ首相は郵政公社民営化強行を改革の本丸などと 躍起になっているが、現状で改革が進められている公社をなぜ早急に民営化する必要があるのかという反対派の意見にも一理はある
明治時代の官業払い下げと同じ疑惑のビジネスが平成の小泉政権下で 白昼堂々強行されようとしているが、一体誰が利益を得るのか疑問だ
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本当に「民営化」は良いことなのか――。JR西日本の脱線事故は、効率優先、商売第にならざるを得ない「民営化」の問題点を如実に暴露した。利益は二の次の「国営」だったら、もっと「安全第一」で運行していたはずだ。
民営化のこうした弊害は、小泉首相がガムシャラに進めている「郵政民営化」にも、そっくり当てはまる。ヤミクモに民営化したらロクな結果にならない。いずれJR西日本のような大事故」につながるのは間違いない。
◆ 改革の成果が上がっている「公社」をわずか2年で「民営化」するナゾ ◆
そもそも郵政は、ほんの2年前、国の直轄事業から「日本郵政公社」に衣替えしたばかりである。初代総裁に商船三井の生田正治会長を迎え、副総裁にはトヨタ自動車の高橋俊裕常務を据えてスタート。「郵政公社」として「改革」を進めている真っ最中だ。
それを首相の政権維持のためだけに有無も言わさず民営化するなんて、いくらなんでもムチャクチャである。現状の「公社」のまま改革を進めても、不都合は何もないはずだ。
「小泉首相は『民間にできることは民間に』『郵政事業を公務員がやる必要があるのか』と、もっともらしい理屈を並べているが、これは国民を欺くものです。
まず、郵政には税金は一銭も投入されていない。郵政公社は人件費から運営費まで、すべて独立採算で賄っています。赤字をタレ流していた旧国鉄や道路公団とはまったく違う。それに職員は40万人いるが、そのうち正規職員は27万人だけ。3割以上は非常勤にして人件費を抑えている。公社化後、初の決算となった03年度も黒字だった。早急に民営化が迫られるほど、郵政が国民の負担になっているとは思えません」
(政治評論家・山口朝雄氏)
国民の負担どころか、「公社」になって以降、並の民間企業よりも猛烈に合理化を進めている。急ピッチで「トヨタ方式」を導入したために、過労死まで引き起こしているほどだ。せっかく「公社化」で改革の成果が上がり始めているのに、たった2年間で無理やり民営化する必要があるのか。
あと数年「郵政公社」の成果を見極めてから、民営化の是非を判断すれば十分だろう。世論調査でも「公社の実績を見た上で」が45%と圧倒的多数だ。
「もし、民営化にメリットがあるとすれば、郵貯・簡保で集めた350兆円の使途を一変させることです。350兆円が特殊法人に流れ、非効率な事業を肥大化させているのをストップさせる。ところが、首相はここには一切、手をつけようとしない。しかも、民営化しても職員の身分は公務員のままだという。それでも『改革の本丸だ』と、何が何でも民営化しようとするのは、一体どういうつもりなのか。理解に苦しみます」(山口朝雄氏=前出)
◆ 米国に郵貯・簡保350兆円を差し出すのが本当の狙い ◆
民営化する必要性も緊急性もない。国民も望んでいない。それなのに、なぜ小泉首相はここまで「民営化」に固執するのか。
こうなると、ウラに重大な疑惑があるとしか考えられない。
こう言っちゃなんだが、日本では明治の時代から、国営事業を民営化するたびに必ず政と財が癒着して「官業払い下げ」という“不正”を行ってきた。明治政府は不用になった炭鉱や紡績所、造船所などが出るたびに、特定の“政商”に安く「払い下げ」てきたものだ。旧国鉄の民営化の時だって、「民活」の名で国鉄の土地が安く払い下げられている。
今度の郵政民営化も「疑惑ビジネス」のにおいがプンプンする。ズバリ、小泉首相がボロ儲けさせる筆頭格は米国だ。
明大名誉教授の岡野加穂留氏(政治学)がこう指摘する。
「小泉首相が郵政民営化に必死になっているのは対米公約だからです。米通商代表部が94年から米議会に提出している報告書には『金融サービス開放の一環として郵政民営化を求める』とハッキリと明記されている。米国の狙いは郵貯・簡保の資金350兆円を開放させ、根こそぎ奪うことにある。昨年9月、首相が自民党の反対を押し切ってまで民営化の基本方針を強引に閣議決定したのも、直後の日米首脳会談でブッシュ大統領に“成果”を報告するためだったとみられています」
すでに米国生命保険協会会長が日本に乗り込んできて、小泉首相と面談している。亀井静香元政調会長が「300兆円ものカネを外資に渡すことが竹中郵政担当相の最終目標であることは間違いない」と断言しているが、これは核心をつくものだ。
◆ 首相に巨額献金している銀行もボロ儲け ◆
もちろん、民営化で儲かるのは外資だけじゃない。日本の銀行も巨額の利益を得ることになる。
今年2月、全国銀行協会や生命保険協会が「郵政民営化にあたり、私たちは『公正な競争』が行われることを望む」「郵政民営化により、国民経済が活性化することを、私たちは期待します」という意見広告を全国紙に展開した。馬脚を現すとはまさにこのことだ。国民が望んでいない民営化を、誰が望んでいるか、これほど分かりやすく表している広告もないだろう。
「240兆円の郵貯マネーを持つ郵政が民営化されれば、メガバンクには新規顧客開拓というビジネスチャンスが生まれる。問題は、それを推し進めているのが大蔵政務次官や大蔵委員長を歴任した『銀行族』の小泉首相ということです。首相は銀行から少なからぬ政治献金を受け取っている。これでは『郵政民営化にこだわるウラに何かあるのでは』と、国民に不信感を与えかねません」(日大教授・岩井奉信氏=政治学)
郵貯・簡保のカネでデタラメをやってきた官僚もニンマリ組だ。郵貯等の特別会計が抱えていた49兆円の「隠れ借金」が、「郵政事業庁」から「郵政公社」になった時、こっそり国民負担に付け替えられている。民営化されれば、こうした過去のデタラメを完全にウヤムヤにできる。
郵便事業は日本国民が120年かけて築いてきた財産である。庶民にとって、実に使い勝手のよいシロモノだ。米国だって民営化していない。それを、小泉―竹中に連なる外資や、一部の銀行を儲けさせるために、民営化させるなんて許されるのか。
君、国売ることなかれ、である。