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2008年4月14日 (月)

帰還兵とオデッセイ

新・戦争と平和第一章 

神奈川新聞 2008年4月2日 

二〇〇一年の中枢同時テロ後、米国では「軍学協同」が進んでいる。ブッシュ政権が○二年に制定したこ洛ちこぽれ防止法」の中に、高校生の進路指導を充実させる名目の下、「公教育機関は軍と協力関係を築く」という条項が盛り込まれた。本人か保護者が拒否しない限り、生徒の名前、住所、電話番号などを学校は軍に提供しなければならなくなった。  ロサンゼルスのセオドア・ルーズベルト高校の生徒数は約五千四百人。ヒスパニック系移民の急増で、全米で一、二を争う大規模校になった。英語をほとんど話せずに入学する生徒も多く、全米 共通テストの成績は平均 をかなり下回る。  イラクの泥沼化で兵員不足に悩む米軍は、このような学校を新兵勧誘の「標的」にする。貧困家庭の子どもが多いからだ。  同校では軍服を着た新兵勧誘担当者が休み時聞などに生徒に声をかけ、入隊の勧誘をするようになった。 生徒の自宅には月に二、三回軍からダイレクトメールが届く。 数年前から、同校では教師たちが軍の勧誘への 「対抗運動」を始めた。 祖父母が福岡県久留米市出身の日系三世アーリン・イノウエ(41)は、数人の仲間の教師とともに、軍の勧誘に規制をかけ①勧誘活動は事前に学校側側の承諾を得る②一対一で生徒を勧誘するときは学校が指定する場所で週一回のみ行うーなどのルールを決め、軍側ににも同意させた。負傷したイラク帰還兵を学校に招き戦場に行くとはどういうことか」を生徒に聞かせる講演会も開く。「法律上、軍の勧誘活動に反対はできない。しかし、軍に入るとはどういうことかという『進路指導』はできる」とイノウエは話す。単に海外に行きたいというだけで軍を志望していた生徒が、日本の青年海外協力隊に平和部隊に志望を変えた例もあるという。 しかし、軍が危険な仕事と分っていても子どもがともかく職を得ることを歓迎する親も少なくない。志願する生徒の中には永住権と引き換えに入隊する「グリーンカード兵」と呼ばれる不法移民の子もいる。 「今の君を力強くし、未来の機会をひらく」。ロサンゼルスの陸軍新兵勧誘事務所で配布しているパンフはうたう。 事務所の軍曹マキシー・セルナによると、志願兵への除隊後の奨学金は最高七万二千/にまで最近引き上げられた。入隊サイン時には別に一時金が二万ドル支払われる。 貧しい家庭に育った子にとっては、目まいがするような額だ。 勧誘する側も必死だ。セルナは米国籍でなくても英語が話せなくても構わない。米在住者であればいい。日本人の志願者がいたら紹介してくれ」とまで言った。 イノウエが話す。「奨学金や一時金を除いても、いまや新兵一人を獲得するための軍の出費は約二万一千ドル。でも、カリフォルニア州の高校生一人当たりの教育予算は七千ドルしかない」。その差は三倍だ。 軍事会社依存の一因 平和団体「米国の友奉仕委員会」ののロサンゼルス代表スティーブン・ギブソンによ ると、新兵勧誘に成功した軍人にも一人につき2OOOドルほどのボーナスが出るという。  志願者不足で米軍の採用基準は緩和され、以前は30代までだった年齢制限は42才までになり、犯罪歴のあるもの者も軽犯罪の場合は入隊を認めるようになった。になった。  イラクで加速する米軍の民間軍事会社(PMC)への依存は、軍の兵員不足も一因といわれる。ギブソンによると、一部の州ではPMCに新兵勧誘を委託する動きもあるという。 神奈川新聞 2008年4月2日

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